避難行動 要支援者の避難
避難行動要支援者とは
避難行動要支援者とは、災害時に自力での避難が難しく、円滑かつ迅速な避難の確保を図るために特に支援を要する方のことを言います。
例えば、医療機関に入院されている方、社会福祉施設に入所されている方、避難にあたって車いすやストレッチャーを必要とする方などが挙げられます。
福島第一原子力発電所事故の教訓
福島第一原子力発電所事故の際は、病院に入院されている方や社会福祉施設に入所されている方の体調などを考慮していなかったこと、あらかじめ避難先を確保していなかったこと、福祉車両などを確保しないまま避難をしたこと等により、避難中や避難先で亡くなる事態が発生しました。
避難行動要支援者への対応
福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえて、島根県では避難行動要支援者の方が安全に避難ができるような体制を整えています。
安全に避難するための対応
❶病院の入院患者等への対応
避難先 | 発災時、県が入院患者の病態に応じて避難先(転院先)を調整し、調整後に避難を行います。 避難の実施により健康リスクが高まる方は、すぐに避難をせず、準備が整うまで屋内退避を実施します。 |
避難方法 | 各施設が作成する避難計画に基づき、避難を行います。必要となる搬送手段、医療スタッフ等については、県や国などが確保することとしています。 |
❷社会福祉施設の入所者への対応
避難先 | 地区ごとにあらかじめ定めた広域福祉避難所へ避難を行います。 避難の実施により健康リスクが高まる方は、すぐに避難をせず、準備が整うまで屋内退避を実施します。 |
避難方法 | 各施設が作成する避難計画に基づき、避難を行います。必要となる搬送手段については、施設保有の車両および県が確保した車両等を活用します。 |
❸在宅の避難行動要支援者への対応
避難先 | 地区ごとにあらかじめ定めた広域福祉避難所等へ避難を行います。 在宅の避難行動要支援者のうち、避難の実施により健康リスクが高まる方は、在宅の避難行動要支援者用の放射線防護対策施設へ移動し、安全に避難が実施できる準備が整うまで屋内退避を実施します。 |
避難方法 | 同居者や、近隣住民、民生児童委員、自治会、自主防災組織等の支援者、市職員、消防団員などの支援を得て避難を実施します。避難手段については支援者の車両または県などが確保した車両を活用します。 |
在宅の避難行動要支援者の方が安全に避難できるための体制整備
各市では、避難のときに車いすを必要とする方などの避難行動要支援者を名簿などで把握しており、災害が発生した場合は、安否や支援の要否を確認します。
家族等の支援が得られない場合も自治会や自主防災組織、消防団等の支援を得ながら避難を行います。
避難手段の確保
車いすや寝たきりの方などの避難手段として、福祉車両(ストレッチャー仕様、車いす仕様)を使用した避難を想定しています。
島根県では、避難で使用する福祉車両を確保するため、鳥取県とともに中国5県のタクシー協会と協定を締結し、必要台数を確保しています。
なお、ストレッチャー仕様の福祉車両は余裕度向上のため、中国電力(株)にストレッチャー車両の提供を要請し、52台を追加で確保することとしています。
また、不測の事態により、確保した輸送能力で対応できないときには実動組織(警察、消防、海上保安庁、自衛隊)に支援を要請し、ヘリコプターや船舶などの輸送手段を確保することとしています。
原子力防災訓練の実施
島根県では、万が一の原子力災害に備えて、毎年原子力防災訓練を実施しています。
令和元年度には、避難行動要支援者の方の対応に関して以下のような訓練を実施しました。
● 放射線防護対策施設への搬送、屋内退避、福祉車両での避難
● ヘリコプターによる搬送
● 放射線防護対策を行った社会福祉施設への物資受け入れ
● 放射線防護対策設備の稼働