小さな頭にぷっくりと膨らんだお腹。白く輝く体に美しく散る朱色―まるで浮世絵美人を思わせる優美な姿の「出雲ナンキン」は、江戸時代の中頃から松江藩の城下で飼育されるようになりました。
松平不昧公が愛した金魚としても知られており、高知県の「トサキン」、愛知県の「ジキン」と並んで「三大地金」の一つに数えられています。1982年には島根県の天然記念物に指定されました。
成長すると「え、これが金魚?」と思うくらい大きくなる出雲ナンキン。生まれて3年で体長が15センチを超え、頭部に肉瘤や背びれがないその独特な姿から、海外では「エッグフィッシュ」とも呼ばれています。また、4つに分かれた尾も特徴です。
松江城の堀端にある松江歴史館では、前庭の池に10匹ほどの出雲ナンキンが泳いでいます。また美しい日本庭園を眺めることができる館内の喫茶室では、7、8月に現代の名工にも選ばれた和菓子職人・伊丹二夫さんによって、出雲ナンキンをイメージした上生菓子が提供されます。食べるのがもったいないほど可愛らしく、添えられた冷抹茶とともに夏の暑さを忘れさせてくれます。
三大地金の一つに数えられ、
不昧公が愛したとされる金魚