この美味しいには、
理由がある!

フルーティーな甘味と濃厚で豊かな栄養を
小さな一粒にギュッと凝縮
食卓に元気を届ける、その名も「海辺のトマト」!
みなさん、トマトはお好きですか? つやつやとした真っ赤なトマトが食卓に一皿あるだけで元気をもらえるような気がしますね。スーパーなどの売り場には様々な大きさ、品種、産地のものが並び、どれにしようかと選ぶ楽しみもありますが、その手軽さなどから近年はミニトマトの消費が伸びていて、なかでもフルーツトマトと呼ばれる甘みのあるものが人気となっています。今回紹介するのは松江市の御津で作られている「海辺のトマト」と呼ばれるフルーツミニトマトです。
日本海からの海風と島根半島から吹き降ろす山風がもたらす自然環境がおいしい農作物を育むといわれる御津地区。ここで作られているミニトマトは「フルティカ」という品種で、リコピン、GABA、グルタミン酸の数値が高く、また糖度も10度以上あり、高糖度・高品質のフルーツトマトとして市場で高く評価されていますが、それを可能にしたのはひとつのイノベーション(技術革新)でした。
トマトを栽培するときに余分な水分を与えないようにしてストレスをかけると、より美味しくできることは広く知られていますが、その性質を研究し生産技術に開発したのが「アイメック農法」です。医療用として開発された無数のナノサイズの穴が開いた特殊なフィルムを農業用に転用した技術で、フィルムの上に土壌代わりのピートモス(植物が堆積し腐植したもの)を置き、そこにトマトの苗を植え付け、フィルムの下にトマトの成長に必要な栄養を配分した養液を通すことで、トマトの根が求める栄養だけを供給し、余分な水分や雑菌を通さないようにすることができるといいます。この施設装置をクリーンな環境のハウス内に設けることで通年栽培も可能となりました。

ハウス内のクリーンな環境でのアイメック農法で「海辺のトマト」は育ちます。

たいばら農園のミニトマト「海辺のトマト」は10月〜翌年6月にかけて店頭販売されます。

「海辺のトマト」を100%使用したトマトジュース、トマトカレー、ドレッシングなどの加工品も多く、御津の特産品も含めた健康でおいしい恵みはネットからでも購入できます。
御津へのあふれる思い
地域に元気を、みなさんに健康を
栽培を管理するハウスリーダーの石井吉幸(いしいよしゆき)さんはアイメック農法を「水分管理がしやすく病気の心配も少ないので、フルーツトマトを育てるのには最適の技術」とし、「フルティカは本来甘みの強い中玉の品種ですが、あえて20gから25gと小さく育てることで、味と栄養を凝縮しておいしくすることができています」と言います。「おいしく育てるコツはありますか」と聞くと「トマトの葉との会話でしょうか。常に葉の様子をチェックし、何を欲しがっているのか、カリウムか水分かなどと考えます。やはり知識と経験が大事だと思います」と答えていただきました。

御津は「出雲国風土記」に「御津浜 広さ二百八歩なり 百姓の家あり」と記される歴史を持ち、入江の先に浮かぶ御島を含めた御津の景色は大正十五年の山陰十景投票(松陽新報社)で最高得票を獲得したと報じられました。
「このミニトマトを作る農場は8年前にできましたが、そこには御津という海辺の小さな町へのあふれる思いがあった」と代表を務める藤田等(ふじたひとし)さんはふりかえります。「今ハウスが建っているところは田んぼでした。御津もかつては多くの家々が田んぼでおいしい米を作っていましたが、高齢化や担い手不足などで、休耕田ばかりになって荒れてしまった時期もありました。そこで農業があるからこそ地域が守られるという思いを強くし、この農場がスタートしたわけです。地区の方もここで働いてもらっています。御津の景観や地域の活力、雇用を維持していくためにも、私たちのミニトマトを選んでいただく人を増やしたい」と言います。
「「海辺のトマト」は地元のスーパーや一部コンビニなどを中心に出荷されていますが、大手鉄道会社・航空会社に優れた地域産品として採用されたり、京都の料亭からの指名注文買いもあるなど、広がりと手ごたえがあり、食の多様化や健康志向の高まりに応えるためにもおいしいものを届け続けたい」と語っていただきました。

たいばら農園のハウスリーダー石井さんとスタッフの方。
■取材協力
株式会社さんちゃんファーム
たいばら農園