来待石はおよそ1400万年前、島根県の海岸部がまだ深い海の底であった頃に、火山灰と砂状のの火山砕屑(さいせつ)物が堆積して凝固した、凝灰(ぎょうかい)質砂岩です。柔らかくて加工がしやすく、粒子が緻密(ちみつ)で火や熱にも強いため、古くからさまざまな場所で使われてきました。
宍道湖南岸には、東西10数km、南北2〜3kmにわたって、この来待石を産出する地層が広がっています。なかでも松江市宍道町来待地区は、多くの埋蔵量を誇るエリアです。東来待にあるモニュメント・ミュージアム「来待ストーン」学芸員の古川寛子さんは、「来待石のような軟石は他地域でも産出しますが、これほど大量にあるところは非常に珍しいですね」と話します。来待ストーンでは、人の手で石を切り出していた採石場跡を見ることができます。
来待石は、切り出した直後は青みを帯びた色をしていますが、徐々に温かみのある色合いに変わっていきます。変わりゆく風合いを愛でる楽しみも、来待石が好まれてきた理由の一つでしょう。来待石を使って作られる出雲石灯籠は、職人の手彫りによる細かな彫刻や、吸水性がよくて早くに苔がつき、自然と調和しやすいことなどから好評を博してきました。
火山灰と砂が堆積してできた、
柔らかくて加工しやすい石