コラム
第8回 島根半島の海岸地形
Q. 島根半島の特徴的な海岸地形は、どうやって作られたの?
日本列島ができたときの地殻変動や、波の浸食作用によって現在の形になりました。
地殻変動の痕跡は、現在も各所で確認できます。
現在の日本列島の地下にある大陸や海洋プレートは、遥か昔から絶え間なく動き続けており、プレート同士がぶつかり合って押し上げられると、地盤が盛り上がって陸地を作ったり、陸地の一部が移動したりします。現在の日本列島は、こうした地殻変動が何億年も繰り返されることで形成されました。
陸地が移動するくらいの大きな力がかかると、固い地層でも飴のように曲がってしまいます。例えば、出雲市小伊津町の小伊津海岸の辺りは元々海の中にありましたが、激しい地殻変動によって深海にあった砂岩と泥岩の地層が海面上に現れ、さらに波の浸食作用で地層が削られることで、現在のような磯(波食棚)が形成されました。また、出雲市美保町の唯浦では、地殻変動によって地層が変形・直立した様子を直に見ることができます。
島根半島の海岸線ではこのように、曲がった地層や切断された断層、地層が傾く現象など、日本列島ができたときの活発な地殻変動の痕跡を各所で確認できます。
なお、地震活動による地層の盛り上がり(隆起)が起きた地域で形成された波食棚には、その分布や海面からの高さに規則性があるほか、周期的な地震(地盤のずれ)に伴って階段状の地形ができたり、波が到達しない範囲に確認されたりするなどの特徴があります。しかし、島根半島の波食棚はこれらの特徴が認められていません。このため、島根半島の波食棚は、地震活動ではなく波浪等の影響によって形成されたと考えられています。