中海の北側に浮かぶ大根島(松江市八束町)は、約20万年前、「大塚山」(標高およそ42メートル)などから流れ出た溶岩によって誕生しました。玄武岩の溶岩は粘り気が少ないため、広く流れ出ることで大根島の特徴である平らな島をつくったのです。
この平坦な島の地下には、「淡水レンズ」と呼ばれる大きな水がめがあるとされています。淡水レンズとは、雨や雪が浸透した淡水と中海から浸み込んだ汽水が混ざり合うことなく地下で分離し、断面を見ると凸レンズ状に浮いていることからそう呼ばれています。淡水は、汽水と比べると比重がわずかに小さく、汽水面に浮くためにこのような現象が起こります。
島内の数カ所で淡水レンズから水が湧き出し、飲用水や生活用水として利用されてきました。淡水レンズの湧き水は、島の集落の形成に大きく貢献したと考えられており、島の人にとってなくてはならない「命の水」となってきました。
また、島には「波入の湧水」とよばれる淡水レンズの湧き水によってできた池があります。この湧水は、歴史の泉として島根県の名水百選にも指定されており、今でも様々な用途に活用されています。
火山がつくった神秘