第6回 山陰地方と地震
Q. 山陰地方は地震が発生しやすいの?
他の中国地方に比べると、多くの微小な地震が観測されています。
しかしながら、将来起こり得る地震の規模等との関連は分かっていません。
【図】は2001年〜2012年に深さ20㎞より浅い場所で発生した微小地震の分布です。山口県から京都府北部まで、ほぼ海岸線に平行な帯状の震源分布が見られます(【図】中の赤色部分)。これが山陰地方の地震帯です。これらの地震観測記録の線上配列は、地下に潜在する断層と関係していると考えられます。
島根県中部から京都府北部にかけての日本海沿岸域では、広島県南部・岡山県南部などに比べると多くの微小な地震が発生していますが、実は山陰地方の地震帯に主要活断層はほとんどありません。
また、図中の矢印は、近年の研究である「GPSにより観測された地殻変動」として、観測点が水平方向に1年あたりどれだけ動いたのかを表しています。島根県東部や鳥取県を見ると、北側の観測点では東向きに約5㎜動いていますが、南側の観測点では1㎜〜2㎜しか動いていません。このことから、島根県東部から鳥取県では1年あたり3㎜〜4㎜の速さで右横ずれ運動が起こっていることになります。この領域は周辺よりひずみ速度が大きいことから「山陰地方のひずみ集中帯」と呼ばれています。
このような地下に潜在する断層や、海岸線に平行なひずみ集中帯は断層形成の初期段階の特徴とされており、ひずみが実際にたまっているかどうかや、将来起こる地震との関連は明確に分かっていませんが、山陰地方は近年地殻変動が活発になった地域であると考えられます。したがって、今後も活断層の存在が指摘されている地域と同様に、地震に対する備えをしていくことが重要になります。
なお、島根原子力発電所では、宍道断層などの主要活断層による地震の評価だけでなく、「山陰ひずみ集中帯」とされている地域で発生した2000年鳥取県西部地震(マグニチュード7.3)の観測記録をもとに基準地震動を策定するなど、事前に活断層の存在が指摘されていない地域で起きた地震についても評価しており、その上で安全対策を行っています。